日常がわたしを救う
「先生、いぬ、好きですか?」
もしかして子犬が産まれて飼ってくれっていう案件(いぬはあまりないけれど、ねこはしょっちゅうある)かしらと警戒しながら
「…とても好きだけれどもう当分飼えないよ…」
というと、その子は涙目で
「うちの犬が昨日死んだんです」
っていう。
ああ。
もも、を思い出す。
写真は、もも。
「幸せだったのか、わからなくて」
「うちで飼われてよかったのかなって」
「ごはんを食べられなくなったらあっという間で」
「今日授業中もそのこと考えたらもう涙が止まらなくて」
うん。
うん。
一緒に泣く。
ひさしぶりに、もも、を思い出す。
もも、は幸せだったのかなあ。
でも、わたしはももと一緒でとても楽しかった。
わたしは彼女を、とても好きだった。
それ以外、何もないのだと思う。
あのときのひりひりした気持ちがよみがえって、目の前に女の子が泣いていて、うん、うん、いいながら一緒に泣いて、そんな日常がわたしを救う。
もう2年以上前になる。