読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

パレード

ことばがただパレードしている、そんな場所

実験を失敗することの大切さ~マグネシウムを取り扱う工場での火災から~

町田市の工場で爆発、火災が発生し、粉末マグネシウムを取り扱う工場であるために水においての消火活動ができない火事がありました。5月15日朝無事鎮火したようでよかったです。

町田の工場爆発火災 14日に消火再開へ NHKニュース

 

どこからか「放水がだめなの当たり前だろ(ここに「プギャー」っていう顔文字)何学校で習ってんのwああ今の高校教育は適当なことしか教えられていないからwだから今の理科教育はwwwww」「Mgは水かけたら爆発するのにわかってないなあゆとりww」(※注意、爆発しません)なんて声が聞こえてきたので(被害妄想からくる幻聴?)2014年今現在の高校教育理科化学の現状を知っていただきたくて書いておきます。プギャーじゃないよの現実は。飾りじゃないのよ涙は。アッハー。

 

 

新教育課程においての高校理科では、「科学と人間生活」とその他の「基礎を付した科目1科目」以上、もしくは「基礎を付した科目3科目以上」が必須単位となります。基礎を付した科目を履修した後でなくては基礎がついてない科目を履修できません。2013年度、高校3年生まで新教育課程になっている状態で、化学基礎の教科書を買わせていたのが全国で約25%、化学の教科書を買わせていたのが6.8%だそうです…。うわあ…。

教科書“採択”にみるセンター試験「理科」の動き ! | 旺文社教育情報センター

 

新教育課程において、高校化学ではMgの反応性についてはまず基礎を付した科目であるところの「化学基礎」という科目の後半で触れることになります。化学基礎は標準単位2単位。1年間に週2回の頻度で1年で履修される科目です。

この科目の最後の酸化還元の範囲で、身近な金属の陽イオンになりやすさを電子配置の概念くらいまでしか説明はしないけれど覚えとくと便利だから順番に並べてみたよっていう「イオン化列」を習います。その際にMgっていうものは熱水とは反応するよある程度危ないよっていう知識が与えられます。このときの反応式は

2Mg+H2O→Mg(OH)2+H2↑

水素が出ちゃう。そうなると粉末Mgある火事場で放水したらどうなっちゃうのー!?っていうのなんとなく想像できる。現場は温度が高まっているんだ!

 

ドライアイスの密封空間に燃焼させているマグネシウムリボンを入れるとCO2から酸素を奪い、結果として炭素がでてくるねーっていう実験もあります。


ドライアイス中でマグネシウムの燃焼 - YouTube

(反応式)2Mg +CO2 →2MgO +C

これぞ還元。幻想的で好き。実際やるかってとドライアイスの入手などなど考えるとあんまり実施できない。ほら、ドライアイスをフレッシュな状態で仕入れて一回限りであの状態のドライアイスの塊って1個あたり千円くらいするわけでさ。同じ実験を複数のクラスでやると思うと事務室からいい顔されない。理科教材、わりと自腹切ってやってる人がほとんどです。

 

イオン化列がどうしてそうなのっていうのにかかわる反応速度のことはさらりと基礎を付さない科目であるところの「化学」で習うことになりますが、なぜMgは常温の水とは反応せずに熱水とならば反応するの?水素発生しちゃうの?っていうのの直接的な理屈は高校では…強いてあげれば周期表の2族元素での反応性くらい?で、暗記になるから難しい。

 

また、粒子のサイズ次第で反応速度が変わる!、ってのは基礎を付しない科目であるところの「化学」でしか触れません。「化学」っていう科目、進学校だって1年次後半からの履修があるのかどうか。たいてい2年次からの履修。

 

ただ、金属の粉末のサイズ次第で反応がガラリと変わることは今までの生活経験で身にしみていてもおかしくはないんです。金属の粒子の細かさがいろいろ反応に影響を及ぼすことに関しては体験していれば知っている。鉄釘は燃えないけどスチールウールは燃えるだとか粉砂糖の粉塵爆発だとか。

中学校において必ず勉強している「化合」の範囲の、鉄と硫黄の混合物を加熱そして硫化鉄の化合の実験において

(反応式)Fe + S → FeS

これも鉄の粒子の細かさ次第で化合の成功は決まります。鉄粒子のメッシュを間違うとぜんぜんうまくいかない。同じく「ホッカイロ」を作る実験でも鉄の粒子の細かさが成功、失敗を分ける。

 

で、ここで自分でそれを選択してさ、1回失敗してみれば粒子の細かさって反応に対して、いやいやすげえ大事なのねってわかるんだけど、生徒に失敗させるってのは授業準備をしていないーってこっちは怒られるのでまあそういう失敗はできない。結果成功例しか教えられていない。そうすると確実に見ることができない、生み出せないことがあるなあと思います。成功を目の前にして不成功のことを言われてもなかなか心まで届かないことが多い。

 

じゃあどうすればいいのか。

 

うーん。

こちらの動画はメッシュの細かい鉄粉を空中に振りまいてその場で燃えるやつ。これ、見せられれば、同時に鉄釘とかスチールウールを加熱してみての差を感じさせれば直感的にわかってもらえるかなーと。これも好きな実験のひとつ。


鉄の自然発火 - YouTube

 

 あとは、危険物乙4の取得。危険物の1~6類全部の取得をすると高校生は表彰されるので(※都道府県によるみたいです)化学好きだったらやってみると楽しいと思う。

金属Mgは危険物乙2類。可燃性固体。

危険物の試験では「消防法別表第1」に書かれているものが危険物であってすべて液体か固体で木とか紙とか石炭だとか水素ガスだとかプロパンガス、メタンガスは危険物じゃねーし、っていってるのがおもしろいです。ウランとかもでてこない。

 

火事でいろいろ大変だった方々には大変悪いですが、とっかかりとしてはとてもよい現象で、危険物取得しまくってる子に全部解説させたりしてわりと授業は充実したりしました。すいません。

 

以上、現場からでした。

それでは最後に聞いてください。

David Guettaで「チタン」。元素記号22番。


David Guetta - Titanium ft. Sia (Official Video) - YouTube