あなたの目の前の世界は誰のものとも違うということ
小4での色覚検査、中止から10年 異常知らず進路選択…トラブルも
上の記事で話題となっている「赤とか緑とかを見る役割をしている遺伝子が不活性になっていて赤と緑の区別がつきにくいひとがいること」について。つまり赤緑色覚異常(便宜上この言い方でこの文章はいきます)について。
高校では生物の遺伝範囲にて伴性遺伝(性染色体X上にある遺伝子による遺伝、形質の現れ方に関して性差が発生する)は新課程では発展内容となり、扱っても扱わなくてもいいけれども従来通り大学入試ででるかもしれないのよねーまあ普通でるし受験生対策ならば扱わないとね~っていう状況です。
履修方法としては「生物基礎」を履修後に「生物」を勉強する。生物基礎はイメージでいえば今までの「生物Ⅰ」の内容2/3、生物は「生物Ⅰ+Ⅱ」で、正直「生物」は6単位でもギリギリかなーってくらい重い科目になってしまった。これは理科の他の基礎なし科目についても同様。
生物基礎、生物の内容としては、DNA!DNA!ってな感じで生物基礎からバリバリ遺伝子コドンアンチコドンからのーm-RNAそしてt-RNAからのータンパク質合成!われわれの体!タンパク質合成~なんてとこまで教えている。もちろんそのへんの鼻息の荒さ(?)は基礎なし科目にも引き継がれ、PCR法ってのはね~よーしやってみよっか!?(実験)、遺伝子組み換え、よく聞くよねー見たい!?(実験)電気泳動!?さあこれがそうよ!(実験)ってな具合です。困る。
その割に人と生物の具体的ラインは巧妙に消されていて、ABO血液型の遺伝についてですらカットで伴性遺伝もさらっとです。赤緑色覚異常については教科書によっては触れていないところすらある。生物で教えていて食いつきがいいのが自分との繋がりがみえるものだったのでこりゃあ新課程で教えるのきっつい。幸いここ最近生物から離れているのですが生物の教科書久々にみたけど読み物としてはとってもおもしろくなっていますよ…。
で、何が言いたいかというと、実感として1クラスに2~3人、特に赤と緑に関して他の人とは違う見え方をしている子がいるってこと。
でも、じゃあ誰もが目の前のものをそのまま見ていて何が正しいかなんてことはわからないってこと。
全員違う目を持っている。わたしに見える花のいろがあなたと同じとは限らない。
ちょっとずれますが、有名な動画なんですが、よかったら見て下さい。
パスの数は何回か、数えて下さい。すると…。
selective attention test - YouTube
これを見せると、ぞわっとして、ああ自分の目なんて何もかも見えているわけじゃないんだ、見ているかもしれないけれども見ているのは脳なんだ、と思うらしい。
赤色を赤色として、緑色を緑色として区別できなければできない仕事はあります。それは本人の努力ではどうにもならないことかもしれないけれど、本人の努力ではどうにもならないことで、その道をあきらめる人なんていくらでもいます。
ただ、やっぱり本人は知っておかなきゃいけない。その本人は知っておかなきゃを、とりあえず、高校理科、生物は積極的には担わなくなったことを記しておきます。