パレード

旅行と動物と料理と化学らへんを不定期に更新します。

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||の感想(自分語りでネタバレしている)

いつもはこの時期忙しいのだが今年は大切な行事の前に消毒するので(消毒した後にチェックする人が素手でべたべた触るためのクソみたいな消毒)逆に時間ができることが判明していてずっと後回しにしていた亡くなった父の土地の名義変更を年度内にやってしまうためあらかじめ休みをもらっていた。土地の名義変更なんてお金のにおいをプンプン感じるが実際はどこも見たことも聞いたこともない土地でただこのままにしておけばさらにめんどくさいことになるから(世の中そんなことはたくさんある)名前を変えるだけだ。謎の山林の猫の額の寄せ集めが2ページくらい渡り一瞬人里離れたログハウスで暖炉の前に猫とだらだらする自分を想像する。暖炉を使うとなると薪が必要だし一冬の薪の量は体験してれば想像するだけでうんざりすることももうわかっているし道もないしそもそも誰もその場所を知らないし猫もいないし犬が飼いたい。そんな土地の名前を変える。結局その中に0円なものがあって「0円ってことはないのででも役場からは0円としかならないのでこういう書類がないとダメなんで書いてもらって再提出」となった。あっという間にその日できることは終わりそのまま役場に行けばよかったしなんなら消毒(無意味)をするために仕事場に行けばよかったのだろうけれど映画館に向かった。

映画自体は長いな30分くらいカットできると感じた(えらそう)。一人で来ている年齢は自分と同じくらいもしくはもう少し若い男の人がメインの観客でみんな仕事休んだのか同士よ…と思った。目の前の一人が途中でお手洗いに立った。我慢は毒だ。

かつてあれほどいらいらさせられたQでのシンジくんが立ち直っていくことがすとんと自分の心に落ちてきてびっくりした。相変わらずこのシリーズの中ではおいしそうな食べ物は何も出てこないけれど(レーションを飲み物無しに飲み物みたいに食べさせられたらふつう死ぬ)「そっくりさん」が口の中をほくほくさせることが本当にうれしかった。そっくりさんのぽかぽか牧場物語があって、守りたいものがある現実と立ち上がらなくちゃならない意味が実感としてあった。そしてアスカが「好きだった」って言ってくれたときは泣いてしまった。アスカには幸せになって欲しかった。本当によかった。ちなみにぬいぐるみの中の人とは破とQのあいだにとっくに深い関係になってると思う。リツコさんが出会い頭すぐさま銃弾を放つのはしびれた。そうでなくてはいけない。相手の脳幹のしずくを浴びても絶対に生きてゆくのだ。

そして少年は声変わりをする。

 救済の話なのだ。少年はいろんな人を救って、自分も最後は救われて、生きていこうと踏み出す。いろんな呪われ方があるのですべてを解こうとしてくれてるかのように過剰だったんだ。情報ゼロのまっさらな状態でこの映画を見たらどう思うかは知りたいところ。シン劇場版シリーズのみの履修でもよさそうだけれど。

テレビシリーズをリアルタイムで唖然として映画をみて愕然として(満席で立ち見で劇場版のリメイク版と途中までを見せられた)今やゲンドウの年に近づいて来た。劇場を出てスマホをチェックしたら大学の合格の喜びのLINEがきててしみじみとうれしかった。この映画を見るまで生きなきゃって思いながらも亡くなった人もたくさんいるんだろう。でもわたしは見ることができた。幸運だった。長い旅路で、これからも長い旅なんだろう。ぼちぼち生きていく。

関係して作ってくれたみなさん、庵野監督。ほんとうにありがとうございました。

 

写真の撮影地はアクアマリンふくしま(2021年2月訪問)